FXトレードにおいて初心者の方が陥りがちなミスが、エントリーポイントを探すことに夢中になって、環境認識を怠ってしまうということです。
計画的にトレードを行うためには、まず環境認識を行うことが大切です。環境認識では、トレンドの方向性や強弱、その背景にある要因を分析する作業を行います。
このような環境認識を行う際、重要な点は複数の時間軸の流れを確認するということです。
複数の時間軸で分析することはマルチタイムフレーム分析と呼ばれ、特に重要な点が上位足を確認することです。上位足を見れば、自分が見ているチャートにおけるトレンドの性質が分かります。
今回はマルチタイムフレーム分析について、トレード例を紹介しながら詳しく解説していきます。
目次
マルチタイムフレーム分析とは?
FXのマルチタイムフレーム分析では、15分足チャートでデイトレードを行う場合であっても、マルチタイムフレーム分析では、4時間足や日足など上位足を参考にします。
上位足で環境認識を行う
なぜ上位足をチェックする必要があるのでしょうか。それは、環境認識を行うためです。環境認識では、現在の相場がどのような状況にあるのか確認を行います。
例えば、15分足でデイトレードを行う場合、15分足チャートだけを見ていても、相場全体の状況が把握しにくいでしょう。
もちろん、その日の相場の流れはわかります。上昇圧力が強い、下降圧力が強いといった判断はできます。
しかし、その日の流れについていったら突然、トレンドが転換してしまったという経験はあるのではないでしょうか。上昇トレンドや下降トレンドがどこまで継続するのかは、短期足チャートをチェックしているだけでは把握できません。
【環境認識に使いたい上位足】
スキャルピング・・・4時間足、日足
デイトレード・・・日足、週足
スイングトレード・・・週足、月足
メインで参考にするチャートを参考にトレードを行いながらも、上位足を見て環境認識を行うことが非常に大切です。また、常に上位足を見て、自分の環境認識が間違っていないかチェックする癖をつけるようにしておきましょう。
下位足でエントリーポイントを探る
マルチタイムフレーム分析では、上位足に対して下位足という表現がなされます。下位足は、デイトレードであれば15分足など、自分がメインに使用する時間軸のチャートと考えてください。
「ローソク足で包み足が出たからエントリーを行おう
「ゴールデンクロスが完成したからエントリーを行おう
「上昇トレンドラインにタッチしたから押し目買いを行おう
といったように、下位足はエントリーのタイミングを計るために利用しましょう。
【エントリーポイントを探るために使用する下位足】
スキャルピング・・・1分足、5分足
デイトレード・・・15分足、30分足、1時間足
スイングトレード・・・4時間足、日足
下位足でエントリーするときは、上位足のトレンドに沿ってエントリーすることをおすすめします。
上位足で下落トレンドが発生しているとき、わざわざ買いで仕掛けると、下落の波に飲み込まれる可能性が高くなります。
反対に下落トレンドに沿って売りエントリーしておけば、多少エントリーポイントが甘くても利益を出しやすくなるはずです。
マルチタイムフレーム分析を取り入れたデイトレード
これまで解説した内容をもとに、実際のデイトレード例を紹介していきます。
ユーロドルの日足でエントリーの方向を固定
まずは上位足である日足をチェックしておきましょう。日足では明らかな下降トレンドが発生していることが確認できます。
一時的に反発しても、すぐに戻り売りが入る様子が見られ、テクニカル的な地合いは非常に弱いと判断できます。
ちなみに、上位足で環境認識を行う際はファンダメンタルズ要因もチェックしておくことをおすすめします。
このときは、FRBが金融引き締めに対して積極的な姿勢を見せていることによるドル買い、ロシアのエネルギー供給懸念によるユーロ売りというファンダメンタルズ要因が背景にありました。
上位足の環境認識により、エントリーの方向性を売りに固定します。買いでも売りでもエントリーするという方もいますが、初心者の方は上位足でエントリーの方向を固定した方がトレードしやすくなるでしょう。
下位足でエントリーポイントを探る
次に下位足でエントリーポイントを探していきます。エントリーは戻り売りを狙っていくイメージで仕掛けていきましょう。
チャートに囲った枠では陽線のあと、大陰線が発生しています。一時的な上昇の後に大陰線が発生すると、その後下落する可能性が高くなります。
デイトレードなので、数時間ポジションを保有して、含み益が発生したら利益確定しましょう。損切りは直前の陽線を上回ったところで行います。
ポジションを持ち続けて下落を待つという方法もありますが、デイトレードでは躊躇なく損切りを行い、次のエントリーポイントを探します。
今回はローソク足を頼りにエントリーポイントを探しましたが、日足で引いた水平線やトレンドライン、インジケーターを頼りにエントリーポイントを探してもOKです。